
個人事業主にとって経理の帳簿管理は重要課題の一つです。そして、帳簿が正確であるほど、税制優遇を最大限に受けられます。その税制優遇が受けられるのが青色申告になります。
青色申告をするためには、確定申告時に申告書と青色申告決算書を提出する必要があります。決算書を作成するために、いくつかの帳簿が必要となります。
ここでは、青色申告で必要な帳簿について、説明していきますので、確定申告後の納税で損をしないために、知識を身につけてください。
1.帳簿の種類の複式簿記・単式簿記とは
まずは、帳簿の種類を紹介します。簡単な帳簿、単式簿記について説明します。
上記の画像は7/31に消耗品を現金で購入した時のレシート例である。
図のレシートを参考にした単式簿記と複式簿記の記帳の仕方の例を見てください。
単式簿記で記帳した場合(現金出納帳)
単式簿記とは、簿記がわからなくても始めやすい、1回の取引に関して1つの勘定科目で収支記録する記帳方法です。
ただし、取引内容を把握するには限界があり青色申告特別控除の65万、55万控除に必要な貸借対照表を作成することはできません。
次に単式簿記で現金出納帳を作成する際の記載例をあげています。
前月から繰り越されてきた現金残高を50,000円として、摘要の欄に「繰越」
残高の欄に「50,000円」と記載
7月31日にえんぴつを現金2,000円で購入したので
摘要欄に「えんぴつ」、支出の欄に「2,000円」
残高の欄には2,000円を引いた「48,000円」と記載します。
収入や支出を記入し、残額を差し引きした内容を記載することで、簡単に帳簿が作成できます。
複式簿記で記帳した場合
複式簿記とは、1回の取引に関して、複数の勘定科目で収支記録する記帳方法です。
借方を左側、貸方を右側に記入し、左右は必ず同じ額となる、事業の財務状況を詳細に示すことができます。
複式簿記での帳簿作成例をあげていきます。
まず借方と貸方に分けて仕訳帳に記帳します。
複式簿記ではすべての取引を借方、貸方の両面から記録していきます。
現金が減ると貸方に記入、費用が発生すると借方に記入といったルールがあります。
総勘定元帳とは勘定科目ごとに取引をまとめた帳簿の事です。
仕訳帳を記帳した後、総勘定元帳へ転記します。
例のように、一つの取引に対して、仕訳帳、総勘定元帳(消耗品費)、総勘定元帳(現金)と3つの帳簿に記帳する必要があります。
また、簿記のルールを知っておく必要もあり、単式簿記での記帳よりも難易度が高くなっていますが、青色申告で65万円控除を受けるためには、これらの帳簿を作ることが必須です。
ただし、難しい複式簿記での記帳は、会計ソフトを使う事で、かなり楽にすることが可能です。
会計ソフトで記帳、帳簿作成することにより、青色申告特別控除の65万、55万控除に必要な貸借対照表も自動で出来上がります。
貸借対照表とは決算日(12/31)時点の事業の財政状況(資産・負債・純資産)が記載してある表です。
貸借対照表があれば事業の財産や負債の状況を把握でき、資金繰りや事業計画がしやすくなります。
手書きでの貸借対照表作成はかなり困難なため、那覇青色申告会でも会計ソフトを使用することをオススメします。
※那覇青色申告会では、「ブルーリターンA」「ジョブカン」という会計ソフトを対面で指導することが可能です。簿記の知識がなくても青色申告に必要な帳簿作成を出来るだけ簡単に作成できるようにサポートします。
青色申告特別控除65万控除で必要な仕訳帳と総勘定元帳とは?
青色申告の65万円・55万円控除を受けるためには、必ず必要な帳簿があります。それが主要簿と言われる仕訳帳と総勘定元帳です。これらの説明は以下になります。
仕訳帳
複式簿記で記載する
取引ごと、日付順に、借方(左側)、貸方(右側)に勘定科目、金額をそれぞれ記帳
総勘定元帳
作成した仕訳帳を元に、仕訳帳のすべての取引を勘定科目ごとに分類して、転記する帳簿のこと。勘定科目ごとに、取引の日付、相手方の勘定科目、金額を転記していく。
手書きの場合、仕訳帳から転記する際にミスがあると、借方、貸方の計算が合わなくなりますので会計ソフトを使うのがオススメです。
他に必要に応じて現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳などの補助簿も作成します。
ご自身のビジネスの業種・業態で必要な帳簿が変わりますので、分からない方は、お気軽に那覇青色申告会へご相談ください。
単式簿記で青色申告10万控除を受ける場合
青色申告承認申請者で複式簿記での帳簿作成が難しい、不動産貸付業で貸部屋が10室未満の方は、青色申告10万円控除を受ける事ができます。
その場合でも現金出納帳、経費帳、売上帳の帳簿を作成する必要があります。
※2014年1月以降、すべての事業者に対して記帳義務が課されました。
帳簿の付け方 | 初心者が押さえるべき記帳の基本とは
記帳のタイミングと頻度とは
帳簿付けの原則は発生主義です。入金時や振込時ではなく、取引が発生したときに帳簿に記帳していきます。
また、毎日帳簿付けをすることで取引の記憶が新しいうちに処理ができ、ミスが減ります。最低でも月に1回の帳簿付けをオススメします。
「仕事が忙しすぎて記帳できない」とお悩みの事業者の方はいっぱいいます。そんな悩みを解決するお助けサービスがあります。
【参考記事】那覇青色申告会職員による記帳サポートとは
現在、ご利用されている会員さんからも「面倒な作業をしなくてすごく助かる」「秘書を雇うより安い」などとお喜びいただいております。
記帳や帳簿作成のお悩みを早く解決したいなら、すぐに那覇青色申告会へご相談ください。
手書きVS会計ソフトで帳簿作成はどちらがおすすめ?
結論は会計ソフトで帳簿作成をすることをおすすめします。
会計ソフトを使用することでミスが減り、青色申告の65万控除が受けられます。
また、手書きよりも手間や時間の節約にもつながります。経理業務にかける時間を減らし、ご自身の事業に注力することはビジネスが上手くいくコツです。
最近の会計ソフトは通帳との連動や、レジとの連動機能などもあるためご自身の職種に
合わせたソフト選びをおすすめしています。会計ソフト選びでお悩みなら、那覇青色申告会がアドバイス致します。
帳簿の保存義務と保管ルール
レシート/領収書の保管と整理方法とは
個人事業主がレシートや領収書を保管する事は税務署対応・確定申告・青色申告要件などに関係する重要な業務です。
税務調査で証拠として求められる事がある場合や、現在では青色申告でも白色申告でも保存する義務があります。
現金出納帳や経費帳等は7年間、レシート領収書などの証憑関係も7年(一部5年もあり)の保存義務があります。
領収書や帳簿が正しく保管されておらず、税務調査が入った際には、追徴課税などが発生する場合があります。
領収書や帳簿の保管期限や整理はしっかりと行いましょう。
税務調査のときに慌てないために必要な整理術
書類はルールを決めて保管し、レシートなどはA4用紙に見やすく張り付ける。
また、経費に計上するものは説明できる範囲の物にしておき、事業用の口座・カードを分けておくことも大事です。
【参考記事】上手な領収書の保存・保管方法とは?
不安なら那覇青色申告会へ相談ください。
よくある質問Q&A|帳簿と青色申告の疑問を解決
開業初年度でも複式簿記に挑戦すべき?
事業の規模にもよりますが、複式簿記での帳簿作成へ挑戦する価値は大いにあります。
単式簿記では10万控除だけですが、複式簿記だと最大65万控除が受けられ節税効果はかなり高いです。
また、お金の流れが見える化されるので経営に強くなれます。会計ソフト自体の難易度も下がってきているため、初年度でも挑戦しやすい環境になっています。
途中で帳簿をつけ忘れたらどうなる?
すぐに大問題になるわけではありませんが、放置すると確定申告や税務調査で大きなリスクになります。
帳簿を正しく・継続して記帳していないと、65万円控除の条件を満たせません。
また数ヶ月分まとめて入力すると、レシートの用途を失念・ 漏れ・紛失が出やすく、帳簿の精度も落ちる事になるでしょう。場合によっては経費の計上を漏らして損することも考えられます。
帳簿記帳を忘れないためにも、記帳のルーティン化、習慣化の方法を考えましょう。
青色申告承認を受けたけど帳簿が不完全だったら?
帳簿の転記ミスや帳簿を紛失したりし保存期間内に保管していない場合は、青色申告特別控除が受けられません。また、税務調査時に税務署への説明がむずかしくなり、最悪の場合には課税所得が推計される可能性があり、重加算税や延滞税がかかる可能性があります。
これらを防ぐため、帳簿のバックアップを定期的に取り、会計ソフトで電子保存を活用することをおすすめします。
自分だけでは帳簿作成が難しい方や申告書作成のサポートが必要な方は、那覇青色申告会を頼ってください。
まとめ|青色申告の帳簿作成は難しくない!
初心者でも青色申告の帳簿作成を簡単にするなら、会計ソフトの活用+習慣化が成功のカギです。
ビジネス初心者や簿記の知識が無い方でも複式簿記での帳簿記帳作成に会計ソフトを使えば圧倒的に楽になります。現在では入力の補助機能や、クレジットカードや銀行口座と連携でき、帳簿記帳の手間が大幅に削減できるようになっています。
また、毎日の帳簿記帳により、決算書や申告書も簡単に出力が可能です。これらで青色申告特別控除65万円がより容易になっています。
記帳の習慣化をすることで、溜めない=ミスが少なくすみますし、記憶も正確なのでレシートの紛失や入力漏れが激減します。
帳簿作成は、節税効果の高い青色申告で確定申告をするために必須です。また、会計ソフトや青色申告会等、専門家のサポートを活用すれば帳簿作成や確定申告の負担を大幅に軽減することが可能です。
青色申告の帳簿作成でお困りなら那覇青色申告会へお気軽にご相談ください。
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